室内で植物を育てる際、十分な光量が得られるかどうかが気になる方も多いのではないでしょうか。このページでは「カーテン越しの日光」のようなニュアンス的な従来のガイダンスから一歩進んで「光補償点」という概念を初心者でも分かりやすく解説したのち、植物の種類ごとにどれくらいの光量を目安にすべきかなどを一覧でご案内しています。
植物の育成に必要な最低照度「光補償点」
観賞用に置いている植物だったら生育速度はそこまで気にしない、むしろスペースの限られた日本の住宅環境では育ち過ぎても困るという方も少なくないかもしれません。
それでも、元気な姿が保てる程度に成長はしてほしいものです。そこで、生育に必要な最低照度について確認していきます。
観葉植物の最低照度(ルクス)は一定ではない
「観葉植物の最低照度」といったキーワードでGoogle検索をすると、裏付けを十分解説せず数字だけを抜栓して混乱を招きがちな記事が少なくないことに気付きます。
一説には700ルクスあれば良いという数字があり、他を見ると1,000〜1,500lxだとか、3,000lx以上とも言うし、
こうしたあいまいな情報を書くのは個人ブログだけだろうと思いきや有名な情報サイトAllAbout(オールアバウト)にも、著名な照明デザイナーである中島龍興氏が書いた記事で「観葉植物は、大抵のものであれば、100lxの明るさで育ちます」などという、それこそかなり”アバウト”な内容が書かれています。
ちょっとまてよ、生育環境が全然異なる植物で、必要最低限の照度のラインが一つしかないって、おかしくない???
と思いながらもう少し調べていくうちに行き着いた言葉が「光補償点」。植物育成について知っておきたいと〜っても重要な概念です。
ちなみに「光補償点」は高校生物で習う内容のようなのですが、私、全く覚えていません。詰め込み学習はいかんですね。もし「光補償点なんて基礎の基礎じゃん!」って思ってらっしゃる優等生の方がここまで記事を読み進めていてくださった場合は、お時間をお取りしてすみませんでした。
さて、「光補償点」についてまったく聞き覚えのないお仲間がた、早速その意味を確認していきましょう。
「光補償点」とは?
そもそも植物が健全に「成長する」ということはどういう状態なのかということを考えてみます。
植物はわずかな光でも光合成をしていると同時に、呼吸もしています。この呼吸量と光合成量が釣り合うポイントを超えたタイミングで、植物は有機物を貯めていく、つまり「成長」することができます。このポイントを「光補償点」と呼び、植物によってそれぞれ違う値を持っています。
呼吸と光合成が「釣り合っている」というと、とりあえず現状維持はできそう、ということでこれを最低照度としたいところですが、光補償点をずっとキープしたところで、やがては枯れてしまうのだそうです。
成長しないのは死んだも同然、というのは、なんだか胸にくる植物の一面ですね。
つまり、植物を健全に生育するにはこの「光補償点」よりも少しでも多い光を植物に当ててあげる必要があります。
おさらいもできたところで、以下では気になるそれぞれの植物の光補償点を一覧にしてみました。
植物の「光補償点」一覧表
草花
| 植物名 | 光補償点(ℓx) |
|---|---|
| カランコエ | 1,600 |
| アナナス類 | 1,000 |
| シャガ | 1,000 |
| ベゴニア類 | 1,000 |
| ユキノシタ | 1,000 |
| マツザカシダ | 900 |
| セイヨウタマシダ | 800 |
| アジアンタム | 600 |
| モンステラ | 600 |
| コーヒーの木 | 450〜910 |
| セントポーリア | 500 |
| オオバジャノヒゲ | 500 |
| オモト | 500 |
| カンスゲ | 500 |
| コクマザサ | 500 |
| シマカンスゲ | 500 |
| ジャノヒゲ | 500 |
| ツワブキ | 500 |
| フッキソウ | 500 |
| ヤブラン | 500 |
| 主要な観葉植物の生育限界 | 500 |
| プリムラ・オブコニカ | 400 |
| プリムラ・マラコイデス | 400 |
| ポトス | 400 |
| シンビジウム | 300 |
| シクラメン | 300 |
| ヒノキシダ | 300 |
| ハラン | 200 |
低木・花木
| 植物名 | 光補償点(ℓx) |
|---|---|
| ハイビスカス | 2,000 |
| ポインセチア | 2,000 |
| アセビ | 1,000 |
| クチナシ | 1,000 |
| クロトン | 1,000 |
| ジンチョウゲ | 1,000 |
| ナンテン | 1,000 |
| アオキ | 600 |
| ゴムノキ | 600 |
| ヒイラギナンテン | 500 |
| カラタチバナ | 500 |
| キャラボク | 500 |
| セイヨウイワナンテン | 500 |
| センリョウ | 500 |
| ハマヒサカキ | 500 |
| マンリョウ | 500 |
| ヤツデ | 500 |
| ヤブコウジ | 500 |
| サルココッカ | 300 |
| アザレア | 100 |
| ナギイカダ | 100 |
ヤシ・ソテツとか、シダとかサボテン
| 植物名 | 光補償点(ℓx) |
|---|---|
| サボテン | 2,000 |
| オニヤブソテツ | 2,000 |
| クジャクシダ | 1,000 |
| シマオオタニワタリ | 600 |
| ソテツ類 | 600 |
| クラマゴケ | 500 |
| コンテリクラマゴケ | 500 |
| ビカクシダ(コウモリラン) | 500 |
ツル植物
| 植物名 | 光補償点(ℓx) |
|---|---|
| クレマチス | 2,000 |
| トケイソウ | 2,000 |
| オオイタビ | 500 |
| サネカズラ | 500 |
| ツルマサキ | 500 |
| テイカカズラ | 500 |
| ヘデラ | 500 |
| ムベ | 500 |
樹木
| 植物名 | 光補償点(ℓx) |
|---|---|
| イロハモミジ | 2,000 |
| エゴノキ | 2,000 |
| オオシマザクラ | 2,000 |
| ケヤキ | 2,000 |
| アラカシ | 1,000 |
| イヌツゲ | 1,000 |
| ウバメガシ | 1,000 |
| クロガネモチ | 1,000 |
| サカキ | 1,000 |
| サンゴジュ | 1,000 |
| シマトネリコ | 1,000 |
| シラカシ | 1,000 |
| シロダモ | 1,000 |
| スダジイ | 1,000 |
| タブノキ | 1,000 |
| トウネズミモチ | 1,000 |
| ナギ | 1,000 |
| ネズミモチ | 1,000 |
| ピンオーク | 1,000 |
| ホルトノキ | 1,000 |
| マテバシイ | 1,000 |
| モッコク | 1,000 |
| ヤマモモ | 1,000 |
| リョウブ | 1,000 |
| ゲッケイジュ | 800 |
| カポック | 600 |
| ヒイラギモクセイ | 500 |
| ヒイラギモチ | 500 |
| カクレミノ | 500 |
| サザンカ | 500 |
| ヒサカキ | 500 |
| ヒメユズリハ | 500 |
| モチノキ | 500 |
| ヤブツバキ | 500 |
| ヤブニッケイ | 500 |
| ドラセナ | 400 |
野菜・果物
| 植物名 | 光補償点(ℓx) |
|---|---|
| イネ | 500〜1,000 |
| レタス | 1,500〜2,000 |
| キュウリ | – |
| トマト | – |
| エンドウ | 2,000 |
| ナス | 2,000 |
| 柑橘類 | 2,000 |
| アスパラガス | 1,500〜2,000 |
| ミツバ | 1,000 |
| イチジク(桝井ドーフィン) | 1,000 |
| ブドウ(巨峰) | 400 |
| オウトウ | 400 |
| ナシ(幸水) | 300 |
| ブドウ(デラウェア) | 300 |
| モモ(白鳳) | 200 |
その他に知っておきたいこと
| 日照過剰(枯死)になる種類も出てくる | 100,000lx |
|---|---|
| 種類によっては葉やけなどの日照障害が出る | 30,000lx |
| 葉が巨大化、枝が徒長化 | 2,000lx |
観葉植物に必要な明るさってどれくらい?
照度の測り方
さて、表を見ながらさっそくインテリアの観葉植物の置き場所の照度を測ってみたくなったあなたに、嬉しいニュースがあります。
岩崎電気さんがなんと無料(2016年10月現在)で提供してくださっているアイフォンアプリで、簡単に照度(ルクス)を測ることができます。おおまかな照度を測るには十分ですね。ただ測れるのは最大9999ルクスまでです。最低照度を確認する意味では十分ですが、本格的にやっていきたい方は照度計を購入してみてもいいかもしれません。安いもので2,000円以下から、バリエーションがありますよ。